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深海ボーリング調査の基本と重要性

目次

深海ボーリングとは地球深部の資源などを観察するために、深海から地下深部まで掘削することです。日本においてそのパイオニアとなっているのが、地球深部探査船「ちきゅう」です。世界初のライザー掘削 が可能な科学調査船で、国際深海科学掘削計画(IODP) の主力船として、地球探査を行っています。

深海ボーリングとは

新しい資源の研究開発

海底面より下に存在する海底堆積物の中は嫌気性の世界。この世界には、酸素圏の生物とは生態が全く異なる嫌気性バクテリアが大量に存在していることが明らかとなっています。

これら嫌気性バクテリアは、メタンハイドレートを生成する可能性や新たな有用遺伝子資源となる可能性もあることから、研究者らは深海ボーリングを通じて地下を掘削し、試料の採取・分析を進めています。

※出典:海洋コア研究がもたらすもの
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/toku575.pdf

古環境の研究と気候変動予測

海洋底に存在する堆積物に含まれるバイオマーカーの分析を通じ、古環境・古気候変動などを探る重要な情報源となるでしょう。将来的な気候変動予測にも役立てられる可能性があります。

※出典:海洋堆積物中の微化石に基づく古環境・古気候変動 ―日本周辺の最終間氷期を例として―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/115/7/115_7_311/_pdf

地震の発生予測

海溝沿いに発生する大地震の長期予測研究において、深海ボーリングによる調査が行われています。

地震は断層におけるズレにより生じますが、過去に生じたズレの状態を詳細に調査することにより、ある程度は将来の地震発生を予測できると考えられています。海底から試料を採取し、その性質や構成比を分析すれば、近接する海底断層との相互作用に関する重要なデータを得られる可能性もあるでしょう。

出典:海底活断層のボーリング調査による地震発生時長期予測の研究 ―別府湾海底断層事例と して―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/afr1985/1986/2/1986_83/_pdf/-char/ja

国際深海科学掘削計画(IODP)とは

引用:国立研究開発法人海洋研究開発機構公式HP(https://www.jamstec.go.jp/iodp/j/)

参加国

国際深海科学掘削計画(IODP)の参加国は、日本、アメリカ、カナダを含むヨーロッパ諸国、中、韓、豪、印、ニュージーランド、ブラジルなど23カ国が参加しています。

組織の目的

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)は、2013年10月から開始された多国間科学研究共同プログラムです。

世界中の海底を掘削して地質試料(掘削コア)の回収・分析や孔内観測装置の設置によるデータ解析などの研究を行うことで、地球や生命の謎の解明に挑戦しています。

活動内容

2024年以降に向けた海洋科学掘削の指針として、国際深海科学掘削計画(IODP)は「海洋科学掘削 2050 サイエンスフレームワーク」を出版しました。

書籍の内容は、日本を含む6つのワークショップで行われた海洋科学掘削に関する議論やアイディア、および2024年以降の海洋科学掘削の指針など。日本、インド、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア/ニュージーランド、中国など、計650名以上の研究者が参加したワークショップになります。

海洋掘削の専門知識をお持ちではない方や専門の異なる研究者の方にも広く読んでもらえるよう、分かりやすさを重視した改定版も出版されています。

日本の最新鋭ドリルシップ「ちきゅう」

ドリルシップとは

「ちきゅう」はドリルシップという種類の船です。ドリル・シップは海洋掘削装置で、船体に掘削装置を搭載し、アンカー係留や自動船位保持で大水深での作業が可能です。

建造コストが低く、移動性が高いですが、波浪中の動揺特性が悪く、過酷な気象・海象条件下では稼働率が低下する傾向もあります。

掘削方法

ドリルシップでは、ライザーパイプとドリルパイプによる二重管構造を用い、掘削時に生成される泥水を回収し、再利用することが可能になっています。

泥水はカッティングスの除去やドリルビットの冷却、地層の圧力調整に使用され、掘削孔の安定性を確保します。このライザー掘削では泥水とカッティングスが船上に回収され、地層の把握や掘削孔の状態確認にも利用されます。

船位保持システム(DPS)

船位保持システム(DPS)とは、洋上で船舶が定位置を保つ方法の一つで、船底に取り付けられた巨大なプロペラ型のスラスタを使って位置を調整する方法です。

例えば、南から北に風が吹いている場合、船を北から南に前進させる推力と、船が風から受ける力のバランスが取れれば、同じ位置を保つことができます。

まとめ

ご紹介してきたように地球深部のボーリング調査は、地殻変動や気候変動、資源調査など世界にとって重要な意義を持つ研究です。世界各国が協力して行われる調査において、「ちきゅう」を保有する日本の役割は非常に大きいと言えるでしょう。

工事に必要な“強み”から選べる
ボーリングマシン総合メーカー3選
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トンネルやダム建設など高馬力が重視される工事におすすめ
トンネルやダム建設など
高馬力が重視される工事
におすすめ
鉱研工業
RPD-180C

引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)

マシンの特徴や傾向

山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。

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地質調査やさく井工など小回りが重視される工事
地質調査やさく井工など
小回りが重視される工事
におすすめ
YBM
LRP-400Ⅱ

引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)

マシンの特徴や傾向

本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。

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住宅地やオフィス街など静音・制振が重視される工事におすすめ
住宅地やオフィス街など
制振静音が重視される工事
におすすめ
東亜利根ボーリング
ソニックNEO

引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)

マシンの特徴や傾向

都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。

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