一口にボーリングマシンと言っても、マシンの機構などによって種類が異なります。導入する際は、現場や工事内容にあったマシンを選びましょう。ここでは、杭打機/ロングフィードマシンの特長と、おすすめの製品をご紹介します。
安全性・小スペース・低騒音で選ぶ
「おすすめのボーリングマシンメーカー3選」
杭打機とは、建物の基礎工事をする際に、地中に基礎杭を打ち込んだり、杭穴を掘ったりするために使われる機械です。建造物の基礎部分と、地中にある固い地盤をつなぐのが役割です。ビルや商業施設など大型構造物の建設現場や道路、鉄道、橋梁などインフラ整備の現場、住宅の建設現場など、数多くの場所で使われています。
トラックの荷台部分に設置されているものから、クローラーがついた自走式のもの、手動で使用できる小型のものなど種類はさまざま。さらに、打撃・圧入・掘削など杭を打ち込む方法によっても、種類が分かれています。近年は、振動や騒音などが発生しにくいマシンが選ばれているようです。
一方、ロングフィードマシンは、地下深くの地層を掘削できる機械です。さく井工事(井戸施工)や基礎杭工事などを効率よく行うことが可能です。
杭打機やロングフィードマシンは、深礎杭の打設や地盤改良などの土木施工に欠かせない建機です。現場の広さや地盤の特性、打設深度などに応じ、多様な形式の機種が使い分けられています。
近年は、狭隘地や上空制限のある現場にも対応できる伸縮リーダー式の登場、自動制御機能の搭載などにより、作業の省力化や施工の均一化、低騒音・低振動などの面も向上しました。都市土木や再開発工事など、複雑化する施工条件に応じた機種が選定されています。
以下、杭打機やロングフィードマシンの具体的な使用事例を見ていきましょう。
都市部の鉄道駅改良工事では、周辺環境への配慮はもちろんのこと、現場に応じたスペース制約も施工難度を上げます。そのため、特に上空制限が厳しい駅構内では、伸縮リーダー式杭打機が活用される場面が増えています。
ある現場では、上空約5mという制約のもと、直径900mm、長さ30mの鋼管杭を中堀回転圧入工法で効率的に打設しました。リーダーが上下に可変する構造により、必要最小限の高さで施工が可能とななったため、作業スペースの確保や周辺施設への影響を抑える施工が実現しています。
高架橋や橋脚などの下部工事では、既存構造物との干渉や地中障害の処理が課題です。そのような現場では、オールケーシング工法を用いたロングフィードマシンが力を発揮します。
地中障害物の撤去やプレボーリング中の孔壁崩壊を防止する補助としても活用される工法で、その特性を活かし、地盤の安定性を高めながら正確な杭打設が可能。硬質地盤にも対応できるため、高速道路の耐久性向上と維持管理の合理化にも貢献します。
構台杭や山留杭の施工では、短期間での打設や高精度な施工が重要なポイントです。RG工法とは、ロッドグラバーを装備した専用の杭打機を用いることで、高効率かつ低騒音・低振動の施工を実現する工法です。
再開発エリアや交通量の多い都市部でも、周辺環境への影響を最小限に抑えつつ、狭小地での高精度な施工が実現。地中障害が想定される場所や既設構造物の近接地において、工程短縮とコスト削減の両立を図れる点も特徴です。
都市部の再開発や建て替え工事では、過去に打たれて残存している杭や、各種の地中障害物の処理が避けられません。これらの処理工程では、主に伸縮リーダー式の杭打機に強力な油圧シリンダーを組み合わせたハイブリッド型の機種が用いられています。
このタイプの機種を活用すれば、障害物の撤去や既設杭の抜き取り作業を安全かつ確実に行うことが可能。狭隘地や建物近接地など、施工制約の多い現場にも柔軟に対応できます。建設の下準備として重要な工区を支える技術と言えるでしょう。
都市土木やインフラ整備、再開発の最前線では、スペースや振動、騒音への制約が厳しい現場が数多く存在します。それら環境下において、伸縮リーダー式杭打機は、施工の自由度を高めつつ高精度・高効率な作業を可能にする建設機械として必要不可欠です。今後も多様な工法と組み合わせながら、さらに幅広い現場への応用が期待されています。
ここでは、Bori-Hori編集チームがピックアップした杭打機/ロングフィードマシンの中で、ストロークの長い(2000m以上)の製品を紹介します。
【選出理由】
「ボーリングマシン メーカー」とGoogle検索して上位に表示されるメーカー(オリジナルの製品を製造・販売)10社のうち、
「杭打機」「ロングフィードマシン」に該当する製品情報を公式HPに掲載しているメーカーの製品をピックアップしています。
(2023年8月1日調査時点)
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/gip-80c-pc-2
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/gip-80c-pc-2
| MODEL | GIP-80C-PC |
|---|---|
| 型式 | GIP-80C-1 |
【メイン圧入装置】
| 適用杭 | PCパイル杭各種 |
|---|---|
| フィードストローク(mm) | 8,600 |
| 給圧力(2速切替)(kN) | 低速137.3、高速78.4 |
| フィードスピード(m/min) | 低速0~13、高速0~22 |
【オーガスイベルヘッド】
| 適用オーガ径(mm) | φ270 |
|---|---|
| 回転トルク(kN・m) | 低速14.7/高速7.4 |
| 回転数(min-1) | 低速24/高速49 |
| フィードストローク(mm) | 8,030 |
| 給圧力(2速切替)(kN) | 低速78.5/高速43.3 |
| フィードスピード(mm) | 低速0~21/高速0~37 |
| リーダスライド(mm) | 1,500 (GL~下500、上1,000) |
| リーダスイング(°) | 左右 3 |
| 油圧ウインチ(kN) | 9.8 |
| 施工時寸法(L×W×H)(mm) | 6,013×2,690×11,520 |
| 運搬時寸法(L×W×H)(mm) | 10,520×2,690×2,950 |
| 本体概略質量(kg) | 22,600(ツールス含まない) |
| 接地圧(kPa) | 55.0 |
| エンジンユニット(kW/min-1) | CAT C3.4B 86/2,200 |
| 必要油圧源 (L/min) | 走行・フィード用34.3MPa-100、その他20.6MPa-66 |
引用元:東邦地下工機公式HP
https://www.tohochikakoki.co.jp/catalog/catalog_list.php?by_word2=11
引用元:東邦地下工機公式HP
https://www.tohochikakoki.co.jp/catalog/catalog_list.php?by_word2=11
【本体】
| 質量(t) | 4.0 |
|---|
【スイベルヘッド】
| スピンドル内径(mm) | 92 |
|---|---|
| スピンドルトルク(N・m) | 7,350~1,830 |
| スピンドルスピード(min-1) | 0~100 |
【フィード】
急速フィード付
| フィード方式 | 油圧モータドライブチェーンフィード方式(モータ上部) |
|---|---|
| 給圧力(上昇・下降)(kN) | 24.5(12,500kgf) |
| ストローク(mm) | 2,300 |
| フィードスピード(m/min) | 0~4 |
【油圧チャック】
| 形式 | スプリングチャック |
|---|---|
| 使用ロッド径(mm) | 88.9(ピンジョイント) |
| リーダスイング(°) | 左右各15 |
| ベースマシン(㎡) | 0.18 |
【ガイドセル】
| リーダスライド(mm) | 1,500 |
|---|---|
| リーダスイング(度) | 左右 各5 |
【クローラ】
| 延期陣形式 | ヤンマーEDM-3TNV88 |
|---|---|
| バケット容量(㎥) | 0.08 |
| 燃料タンク容量(L) | 40 |
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。