トンネル工事において、ボーリングマシンは掘削作業の効率化と安全性向上に欠かせない機械です。特に、リニア中央新幹線の建設など大規模なトンネルプロジェクトでは、先進的なボーリング技術が導入されています。本記事では、トンネル工事に関連する各種坑道の役割や、具体的なボーリングマシンの使用事例について解説します。これからトンネル工事を計画されている方々にとって、有益な情報となれば幸いです。
トンネル工事では、目的や役割に応じてさまざまな坑道が設けられます。以下に、本坑、作業坑、連絡坑、先進坑(先進導坑)の役割と違いを説明します。
本坑(ほんこう)は、最終的に利用されるトンネルそのものを指します。鉄道や道路のトンネルであれば、実際に列車や車両が通行するメインの通路となります。掘削にはシールドマシンやボーリングマシンなどが使用され、安定した構造を確保しながら掘り進めます。
作業坑(さぎょうこう)は、トンネル工事中に掘削作業を円滑に進めるために設置される坑道です。資材の搬入や作業員の移動、排水・換気などの役割を持ちます。作業坑は本坑と並行して掘られる場合もあり、トンネル工事の効率を向上させるために必要不可欠です。
連絡坑(れんらくこう)は、本坑と作業坑、または複数の本坑をつなぐための坑道です。非常時の避難経路として利用されるほか、トンネル内の換気や排水機能の強化にも貢献します。特に長大なトンネルでは、一定間隔で連絡坑を設置することで安全性が向上します。
先進坑(せんしんこう)または先進導坑(せんしんどうこう)は、本坑の掘削に先立って掘られる小規模なトンネルです。地質の確認や湧水の処理、ガスの有無の調査などを行う目的があります。特に山岳トンネルでは、ボーリングマシンを活用して先進坑を掘り進め、掘削作業の安全性を高めることが一般的です。

リニア中央新幹線の建設において、南アルプストンネルは最も難工事の一つとされています。地盤の安定性を確認するため、先進坑が先行して掘削され、ボーリングマシンが活用されています。
参照元・画像引用元:JR東海(https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/plan/sangakubu/)

中央新幹線の都市部トンネル工事では、シールド工法とともにボーリングマシンが使用され、地下構造物との干渉を回避しながら掘削が進められています。
参照元・画像引用元:JR東海(https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/plan/toshibu/)

鹿島建設は、ボーリングマシンを活用した独自の山岳トンネル掘削技術を開発し、先進坑の掘削に応用しています。これにより、トンネル工事の安全性と効率性が向上しました。
参照元・画像引用元:鹿島建設(https://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_2011/feature/tyousen/index-j.html)
ボーリングマシンは、トンネル工事において重要な役割を果たします。特に先進坑の掘削においては、地質調査や湧水処理を目的としてボーリングマシンが活用されます。
また、近年の技術では、自動化されたボーリングマシンが導入され、作業の効率化と安全性が向上。リニア中央新幹線をはじめとする大規模プロジェクトでは、ボーリングマシンの進化が工事の安全性と効率性を高める重要な要素となっています。
今後のトンネル工事においても、ボーリングマシンの技術革新がさらに進むことが期待されています。
ここでは、Bori-Hori編集チームがピックアップしたトンネル工事に適したボーリングマシン品を厳選してご紹介します。
【選出理由】
「ボーリングマシン メーカー」とGoogle検索して上位に表示されるメーカー(オリジナルの製品を製造・販売)10社のうち、
「トンネル工事」に該当する情報を公式HPに掲載しているメーカーの製品をピックアップしています。
また、各企業の公式サイト上に該当する工事事例や事業紹介コンテンツが存在する場合、そのページもあわせてご紹介しています。(2025年3月14日調査時点)

引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/580/
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/580/
| 掘さく口径(mm) | 101~225 |
|---|---|
| 回転数(min-1) | 80(パーカッション併用)/100(回転増速) |
| トルク(N・m) | 10,800 |
| 打撃数(bpm) | 2,200 |
| 打撃エネルギー(J) | 750 |
| スラスト(kN) | 60 |
| ストローク長(mm) | 3,000 |
| 運搬時寸法(L×W×H)(mm) | 7,600×2,420×2,720 |
| 質量(kg) | 12,500 |
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/554/
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/554/
| スピンドル内径(mm) | 150 |
|---|---|
| 回転数(rpm) | 30/54/260 |
| トルク(kN・m) | 16.0/9.0/1.8 |
| 油圧チャック | 機械締付、油圧開放式 |
| 給進力(kN) | 290/170/50 |
| 方式 | オイルモーターとチェーン |
| ストローク長(mm) | 3,600 |
| 質量(kg) | 10,000 |
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/573/
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/573/
| 掘さく口径(mm) | 620 |
|---|---|
| 回転数(低速)(rpm) | 3(外管)/10(内管) |
| トルク(低速)(kN・m) | 320(外)/67(内) |
| 回転数(高速)(rpm) | 6(外)/20(内) |
| トルク(高速)(kN・m) | 160(外)/33.5(内) |
| 給進力(kN) | 730(外)/250(内) |
| 給進速度(mm/min) | 950(外)/210(内) |
| 早送り速度(mm/min) | 4,000/8,000 |
| ストローク長(mm) | 3,450/3,040 |
| 運搬時寸法(L/W/H)(mm) | 11,000/3,000/4,500 |
| 質量(kg) | 36,000 |
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/manufacture/m07.html#m10
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/manufacture/m07.html#m10
| スピンドル内径(mm) | 170 |
|---|---|
| フィードストローク(mm) | 1,800 |
| スピンドルスピード(rpm) | 低速 0~30/高速 0~70 |
| スピンドル最大トルク(kg・cm) | 低速 1,400/高速 600 |
| フィードスピード(mm/min) | 0~6 |
| フィード方式 | オイルシリンダ+チェーンフィード |
| ドライブ方式 | オイルモータードライブ |
| 最大給圧力(kg) | 6,000 |
| 油圧圧力(kg/cm²) | 210 |
| 所要馬力(kW) | 45 |
| 重量(本体)(kg) | 約 6,150 |
| 重量(オイルポンプユニット)(kg) | 約 1,500 |
| 重量(パワースタンド)(kg) | 約 1,000 |
| 寸法(L/W/H)(mm) | 3,700 × 700 × 920 |
| 備考 | ウォータスイベル内蔵形 |
【穿孔能力(シールドサイズ別 深度)】
| TR 165 | 100 m |
|---|---|
| TR 140 | 200 m |
| TR 105 | 400 m |
| TR 80 | 400 m |
【鋼管埋設能力(パイプ径別 深度)】
| 10インチ | 70 m |
|---|---|
| 12インチ | 60 m |
| 14インチ | 50 m |
| 16インチ | 40 m |
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/news/index.html
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/news/index.html
| スピンドル内径(mm) | 170 |
|---|---|
| フィードストローク(mm) | 1,400 |
| スピンドルスピード(rpm) | 0~30、0~60 |
| スピンドル最大トルク(kgm) | 600、300 |
| フィードスピード(m/min) | 0~6 |
| フィード方式 | オイルシリンダ+チェーンフィード |
| ドライブ方式 | オイルモータードライブ |
| 最大給圧力(kg) | 6,000 |
| 油圧圧力(kg/cm²) | 210 |
| 所要馬力(kW) | 30 |
| 重量(本体)(kg) | 約3,100 |
| 重量(オイルポンプユニット)(kg) | 約1,000 |
| 重量(バルブスタンド)(kg) | 約180 |
| 寸法(L/W/H)(mm) | 2,650×700×865(フランジジョイント付) 2,750×700×865(前部スクリュチャック付) |
| オプション部品 | 前部スクリュチャック、後部スクリュチャック、手動ホルダ |
【穿孔能力(小口径)】
| シールドパイプ径 | 深度(m) |
|---|---|
| TR140 | 65 |
| TR105 | 140 |
| TR80 | 200 |
【鋼管埋設能力(大口径)】
| パイプ径 | 深度(m) |
|---|---|
| 6インチ | 65 |
| 8インチ | 50 |
| 10インチ | 40 |
| 12インチ | 30 |
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。