一口にボーリングマシンと言っても、マシンの機構などによって種類が異なります。導入する際は、現場や工事内容にあったマシンを選びましょう。ここでは、地盤改良機(設置型)の特長と、おすすめの製品をご紹介します。
安全性・小スペース・低騒音で選ぶ
「おすすめのボーリングマシンメーカー3選」
地盤改良には、大きく分けて「表層改良工事」「柱状改良工事」「小口径鋼管杭工事」の3つの種類があります。
「表層改良工事」とは、安定した地盤があり、表層だけを改良する工事です。油圧ショベルやローラーなどを使って行います。「柱状地盤改良工事」は、土の中にセメント系固化材の柱を造り、地盤を補強する工事です。また「小口径鋼管杭工事」は、地中深くにある固い地盤に細い杭を打ち込み、地中から建物を支える工事です。
「柱状改良工事」と「小口径鋼管杭工事」は、地盤改良機を使います。地盤改良機とは、ドリルヘッドや杭圧入用ヘッドなどを搭載し、削孔や銅管を打ち込むことができる機械のこと。設置型の場合は、足場上で利用します。
設置型の地盤改良機は現場に固定して使うものであり、大規模な工事や特殊な環境下での地盤改良などに活用されています。機械自体は移動しないので安定した場所での作業が主となりますが、ここでは具体的な使用事例について紹介します。
海岸やため池、河川などの水辺で設置型地盤改良機を使った液状化対策がおこなわれています。埼玉県の調整池では液状化対策のために深層混合処理工法の工事、愛知県では海岸堤防工事で堤体及び基礎地盤を混合処理工法(トレンチャ式)で固化する耐震工事が行われています。
このように、液状化対策や地盤の安定対策、既存構造物の耐震補強として、セメント系固化材を用いた地盤改良は必要不可欠となってきています。能登半島地震ではセメント系固化材を用いた地盤改良をした住宅の被害状況を確認した結果、液状化した砂が流れてきてはいたが住宅は無被害だったり、七尾市の病院では本館は無被害で済んだりと、地盤改良の地震に対する有効性が確認された事例となっています。
河川では河床掘削における仮橋工事での浅層混合処理工や、河川堤防内の地盤改良などで用いられています。和歌山県の事例では、仮橋を設置するための地盤支持力が不足していることが判明し、固化材の散布、撹拌、転圧を繰り返して浅層混合処理工を行っています。護岸や河床掘削の整備を行うことで七瀬川の流下能力向上にもつながりました。
遊水地では固化破砕土の改良処理に用いられています。北海道の事例では、遊水地の堤防施工を行うにあたり土砂が水を含み軟弱だったことや泥炭が広範囲に堆積して堤防施工後に地盤沈下が心配されたことから固化破砕土を固めて12年かけて堤防を施工しました。
熊本での砂防堰堤の築堤工事では現地の土砂が多くの有機不純物を含んでいたのでセメント系固化材が向いていないと判断されましたが、高有機質土用セメント系固化材をを使うことで目標とした改良強度を確保できました。
海岸でも設置型地盤改良機による空港用地造成などが行われています。東京都では羽田空港の羽田沖処理場を拡張するにあたって浚渫土砂等による盛土造成をおこなうために超軟弱地盤を長期強度抑制型特殊固化材で施工した事例です。この地盤改良工事で、超軟弱地盤でも滑走路として造成することができるようになりました。
改定や河川を掘削することによって得られた大量の浚渫土は、現場で改良して埋立材や造成材として利用することもあります。
地盤改良は機械化やシステム化が早くから進んできた分野であり、設置型地盤改良機がICT技術と連携することもあります。従来の地盤改良工事では機械ごとに配置されたオペレーターが連絡を取りながら施工を行ってきました。しかし、施工機とプラント部を一体化して全自動運転をおこない、インターネットを介在させることで現場内はもちろん遠隔地からのオペレーターと同じように施工状況を確認することができるようになりました。
また、自動追尾式トータルステーションを使用して改良体を所定の場所に誘導する誘導管理システムも登場しています。リアルタイムで改良体の改良範囲、進度管理を適切に確保でき、施工性・施工精度・安全性の向上とオペレーターの負荷軽減の効果が得られます。
これらの事例から、設置型地盤改良機は河川・ため池、海岸などの大規模インフラ工事、浚渫土・盛土材の現地改良、堤体補強、液状化対策、耐震補強など幅広い分野で活用されていることが分かります。固定設置は安定して施工でき、近年ではICT技術と連携して高精度管理やオペレーターを補助するガイダンスシステムの開発も進んでいます。
ここでは、Bori-Hori編集チームがピックアップした地盤改良機(設置型)の中で、ストロークが長い順に製品を紹介します。
【選出理由】
「ボーリングマシン メーカー」とGoogle検索して上位に表示されるメーカー(オリジナルの製品を製造・販売)10社のうち、
「地盤改良機 設置型」に該当する製品情報を公式HPに掲載しているメーカーの製品をピックアップしています。
(2023年8月1日調査時点)
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/si-15s4-cf
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/si-15s4-cf
| スピンドル内径(mm) | 77 |
|---|---|
| スピンドル回転数(min-1) | 高速0 ~ 50、低速0 ~ 14 |
| スピンドルトルク(kN・m) | 高速0.82、低速2.94 |
| フィードストローク(mm) | 1,000 |
| フィードスピード(m/min) | 上昇0 ~2.8、下降0 ~ 3.7 |
| 最大給圧力 (kN) | 上昇39.5、下降29.7 |
| 原動機(kW/rpm) | 40/2000 |
| 寸法(L×W×H)(mm) | 1,800×1,600×2,190 |
| 質量(本体) (kg) | 1,350 |
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/si-40s4-s
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/si-40s4-s
| スピンドル内径(mm) | 145 |
|---|---|
| スピンドル回転数(min-1) | 高速0 ~ 60、低速0 ~ 30 |
| スピンドルトルク(kN・m) | 高速3.2、低速6.4 |
| フィードストローク(mm) | 1,000 |
| フィードスピード(m/min) | 上昇0~4、下降0~5 |
| スライドストローク(mm) | 300 mm |
| 最大給圧力(kN) | 上昇50、下降34 |
| モーター出力(kW) | 30-4 P |
| 寸法(L×W×H)(mm) | 2,350×1,848×2,500 |
| 質量(本体) (kg) | 3,100 |
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。