地質調査のために使われるボーリングマシン。一口にボーリングマシンといっても、使用法や種類はさまざまです。ここでは、ボーリングマシンがどういうマシンなのか、種類や仕組みなどをご紹介します。
ボーリングとは、「掘る」「突き通す」といった意味を持つ英語「boring」に由来する言葉で、一般には地面に穴をあける作業全般を意味します。トンネルや建築物の基礎工事、災害対策、資源開発など、多くの場面でボーリングが行われていることは、一般にもよく知られているところでしょう。
ボーリングマシンは、これら作業に特化した専用機械の総称です。地中深くまで正確に掘削することを目的に、土木・建設分野をはじめ、調査・開発・維持管理など幅広い現場でボーリングマシンが用いられています。
以下では、代表的な用途ごとにボーリングマシンの使用例をご紹介します。
建物や橋、ダム、トンネルなどを建設する際には、事前に地盤の構造や強度、水分含有量などを調べることが必要不可欠です。これら調査段階で使用される主要な機械の1つが、ボーリングマシンになります。ボーリングコアと呼ばれる地中のサンプル採取を通じ、地下の状態を可視化する調査にボーリングマシンが使用されています。
またボーリングマシンは、鉱床や地下資源(天然ガス・金属鉱石など)の探査にも欠かせない存在です。探査を通じて精密な情報を得ることで、設計の安全性や施工計画の妥当性を高めています。
ボーリングマシンは、地滑りや土砂災害の予防・対策として行われる各種工事でも活躍しています。斜面の崩壊を防ぐための法面工事や、地中に鋼棒を埋設するアンカー工事、地下水の排水を行う集排水工事などが、その典型的な現場として挙げられるでしょう。
高精度かつ安全な施工を実現できるボーリングマシンは、不安定な地盤を安定化させるための掘削作業では不可欠な機械です。災害の未然防止に向けた工事はもとより、災害後の復旧工事においても、ボーリングマシンは重要な役割を果たしています。
建物や構造物の基礎を安定させるためには、基礎の基礎となる「地盤」そのものの強度を高めなければなりません。地盤強化のために用いられる代表的な建設機械の1つがボーリングマシンです。
地盤改良工事には、表層改良や柱状改良、鋼管杭の埋設など、さまざまな種類がありますが、いずれの目的においてもボーリングマシンは不可欠です。とりわけ軟弱地盤のエリアでは、建物の不同沈下を防ぐための精密な深度管理が必要となるため、ボーリングマシンによる工事は欠かせません。
なおボーリングマシンは、目的や現場の特徴に応じてアタッチメントを組み合わせることで、多種多様な地盤に対応できます。
地下水や温泉水、地中熱を活用するために必要な深い井戸を掘る「さく井工事」でもボーリングマシンが活躍しています。
掘削深度や地層の硬さに応じた専用のビットやロッドを用いれば、効率的かつ確実な掘削が可能。水源の確保や再生可能エネルギー活用の観点からも、ボーリングマシンによる「さく井工事」は年々需要が高まっています。
ボーリングマシンは、環境分野における調査でも重要な役割を果たしています。
よく行なわれている調査の1つが、土壌汚染に関連するものです。掘削時に取り出される地中の資料を基に、化学物質の濃度や地質層の構造などを分析し、適切な環境対策へとつなげていきます。
地中の「現物」を採取できるボーリングマシンは、信頼性の高い調査データの取得に役立っています。
一口にボーリングマシンと言っても、「ロータリー式のボーリングマシン」や「ロータリーパーカッションドリル」、「スピンドルボーリングマシン」など種類はさまざまです。
「ロータリー式のボーリングマシン」は、ケーシングに回転と押込み力を与えて地盤を掘削するマシンで、軟弱地盤でも岩盤でも掘削できる点が特長です。一方、「ロータリーパーカッションドリル」は、ケーシングに回転と空気圧や油圧による打撃を加えて孔を開けるマシンです。
これらはさらに、軽量なもの、自走できるクローラ型、クレーンによりドリルを吊り上げたものなどさまざまなタイプに分かれており、目的な現場の状況に合わせて活用されています。
ボーリングマシンは、「ボーリングビット」や「コアチューブ」、「ボーリングロッド」、「ケーシングパイプ」などで構成されています。それぞれの機能は以下の通りです。
ボーリングマシンは本体だけでなく、ロッドやビットなど周辺機器の組み合わせで初めて機能します。現場条件や目的に合わせて最適な構成が選ばれます。
ボーリングマシンは、ボーリングマシン本体だけではなく、ロッドやビットなど周辺機器との組み合わせで初めて機能します。このため、ボーリングマシンを導入する際は、本体の機能・能力はもちろん、周辺機器も吟味することが大切です。
こちらのページでは、多様化する工事現場のニーズに応える、さまざまな製品やメーカーをご紹介しています。マシンの購入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。