地質調査業やボーリング工事に携わる仕事は「きつい」「3K」などと言われ、高齢化・後継者不足に悩まされています。ここでは、なぜ「きつい」と言われるのかその原因と、技術者の負担を軽減する対策について解説します。
人口減少・少子高齢化の影響で、地質調査業でも技術者・技能者の高齢化、後継者不足が深刻な課題となっています。
全国地質調査業協会連合会の調査によると、現場を管理する地質調査技士は、毎年登録者数こそあまり変化がありませんが、中堅・若手の管理技術者は不足しています。※また、ボーリング技術者も、機長(主任地質調査員)・助手(地質調査員)ともに平均年齢が40歳代。特に機長(主任地質調査員)は50代・60代が半数以上を占めており、高齢化が顕著です。
一方で、助手(地質調査員)は年代ごとの偏りが小さく、平均的に分布しているものの、経験年数の短い人が多いことから、中途入職者が多く、流動性が高いと考えられています。このため、将来の機長(主任地質調査員)不足が懸念されている状況です。
※参照元:新たな時代の地質調査業発展ビジョン〜2020 年代を駆け抜けるための地質調査業の羅針盤〜(PDF)(https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/vision/vision.pdf)
ボーリング技術者の人手不足の原因は、少子高齢化だけではありません。ボーリング工事は砂・泥を相手にするため、世間一般でいう3Kです。住宅街など造成された土地ばかりでなく、普段人が訪れないような土地を調査することもあり、虫や蛇、野犬などがでてくることもあるようです。調査地まで車が通れず、調査機を人力で運ばなくてはならないこともあります。
また、非常に重く、扱いが難しいマシンが多いため、疲れて集中力が切れた時に服や指などを挟まれ、ケガをする例も少なくありません。
こうした状況を受けて、業界でも危機管理マニュアルの整備や防災訓練、就労環境の改善などさまざまな取り組みを進めています。また、最近では乗車不要のリモコン操作で、ロッド接続や切り離しなどが行える機器や、周辺機器を一体化した機器、高速で掘削できる機器など、各メーカーからさまざまな機器が販売されており、作業の効率化・安全性の実現を目指しています。
都市部では複雑な地層構成が重なり合っており、地盤の予測が困難なため難工事が増加しています。大都市圏における多様な堆積作用の結果です。地層の傾斜や断層、河川堆積物などが局所的に入り乱れるため、従来の二次元的な把握では十分な評価ができません。
また、工事現場では玉石や転石などの粗大粒子の混在や、被圧地下水といったトラブル要因が多様化しており、掘削機器の故障や施工困難、さらには地下水の突発的な流入などのリスクを高めています。こうした複雑な地質条件に対応するためには、詳細な予備調査・精度の高い施工計画が不可欠です。
ボーリング工事において大量の湧水や高水圧への対応は、大きな課題の一つです。掘削中に予想以上の地下水が湧出すると、作業坑内が水没する恐れが生じます。ポンプによる湧水管理や排水ボーリングなどの追加作業が必要です。工期が延びるだけでなく、施工手順も複雑化します。
高水圧下では、突発的な水の噴出や地盤崩壊を引き起こすリスクが高まり、作業員の安全確保が難しくなります。特に被圧地下水を伴う場合は、圧力解放の手順や遮水工法の選択を誤ると重大事故につながりかねません。
事前の地質調査で水位や水圧を把握し、適切な排水計画や安全対策を講じることが、円滑かつ安全な工事遂行に不可欠です。
ボーリング工事の現場運用には高度な技術と豊富な経験が求められます。掘削機器は硬質岩盤や玉石層を相手にするため摩耗が激しく、ビットやロッドの状態を常に点検し、適切なタイミングで交換・整備を行う管理能力が不可欠です。また、正確な掘進を行うにはミリ単位での角度調整や回転数・押し込み圧力の制御といった精密操作が必要となります。
地質調査結果を読み解き、掘削中に得られるコアや湧水状況を踏まえて施工条件を柔軟に調整する判断力も重要です。
ボーリング工事は重労働のため、若手のなり手が少なく、後継者不足・人手不足が深刻化しています。しかし、近年は高い安全性・省力化を実現するマシンや、軽量化したマシンなどもさまざま販売されているので、ぜひ導入して、労働環境の改善を図ってはいかがでしょうか。
こちらのページでは、多様化する工事現場のニーズに応える、さまざまな製品やメーカーをご紹介しています。マシンの購入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。