一口にボーリングマシンと言っても、マシンの機構などによって種類が異なります。導入する際は、現場や工事内容にあったマシンを選びましょう。ここでは、地滑り防止工事で活躍するボーリングマシンをご紹介します。
安全性・小スペース・低騒音で選ぶ
「おすすめのボーリングマシンメーカー3選」
斜面上の土や岩が下方向に移動する現象を「地すべり」と言います。地形・地質・地下水の集まりやすさなど元々の原因だけでなく、降雨や融雪といった自然的な要因、トンネル掘削などの人的な要因で発生します。
地滑り防止工事は、こうした地滑りを軽減・防止するために行う工事のこと。工事にはさまざまな工法がありますが、大きく抑制工と抑止工の2つに分けられます。抑制工とは、地滑りの原因となる地形や自然条件を変化させて地滑りを抑制させる方法で、抑止工は、アンカーやシャフトなど構造物を設置することで地滑りを止める方法です。どちらの工法にもボーリング技術が利用されています。
地滑り防止を目的としたボーリングマシンの使用事例にはさまざまなものがあります。ここでは、実際の使用例をピックアップしてご紹介していきますので、どのように使用されているのかを見ていきましょう。

引用元:内海建設コンサルタント株式会社公式HP
(https://www.naikai-con.co.jp/results/)
地滑り防止区域における調査を行った事例です。ボーリング調査に加えて孔内傾斜計、自記水位計等の観測を行うことによって、地滑り活動の状況を把握し、地滑り機構の解明を行いました。今後は、豊水期を含め長期間の観測を実施し、すべり面形状の設定や最高水位の確認を行う予定となっています。
参照元:内海建設コンサルタント株式会社公式HP
(https://www.naikai-con.co.jp/results/)

引用元:徳島県庁
(https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/sangyo/ringyo/2010110200090/)
徳島県で行われた地滑り対策工事の事例です。工事が行われた地区では、昔から豪雨のたびに地滑りが報告されていました。さらに、昭和50年代の台風によってずい道に崩落と亀裂が発生したことから、対策として立体排水工事や集水工などの工法を行いました。特に、下部ブロックではすべり面深度が深かったことから、ずい道排水と打上ボーリングを組み合わせた形で実施されました。
参照元:徳島県庁公式HP
(https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/sangyo/ringyo/2010110200090/)

引用元:美の国あきたネット公式HP
(https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/25607)
秋田県では農地と農地用施設を守るため、県内で「農地地すべり防止地域」を指定しています。その中で集水井で地下水のダムアップが確認され、地滑り災害が懸念された地点にて、対策が行われました。この地下水のダムアップの原因は、集水井に溜まった水を排除する役割を持つ排水ボーリング孔の目詰まりと判断されたことから、ボーリング孔の洗浄工法を実施。洗浄後は施設機能が回復し、ダムアップも解消されています。
参照元:美の国あきたネット
(https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/25607)

引用元:一般社団法人斜面防災対策技術協会公式HP
(https://www.jasdim.or.jp/gijutsu/jisuberi_joho/taisaku/yokoboring/index.html)
横ボーリング工においては、たとえば地下水に含まれる藻や細菌類、流入した土粒子、植物根が進入することなどによって集水管が目詰まりしやすいという面があります。また、集水管そのものが水質の影響によって劣化・損傷が発生したり、斜面変動によって割れや破断などが発生する可能性も考えられます。もし集水管の機能が低下した場合には、地滑り活動を抑制する機能の低下や喪失につながる可能性があるため、詳細な点検が必要となります。
参照元:一般社団法人斜面防災対策技術協会公式HP
(https://www.jasdim.or.jp/gijutsu/jisuberi_joho/taisaku/yokoboring/index.html)
ここでは、Bori-Hori編集チームがピックアップした地滑り防止工事用のマシンの中で、特に打撃数が高い、掘削能力に優れたメーカーの製品を厳選してご紹介します。
【選出理由】
「ボーリングマシン メーカー」とGoogle検索して上位に表示されるメーカー(オリジナルの製品を製造・販売)10社のうち、
「地滑り防止工事 ボーリングマシン」に該当する情報を公式HPに掲載しているメーカーの製品をピックアップしています。
(2023年8月1日調査時点)
※また、各企業の公式サイト上に該当する工事事例や事業紹介コンテンツが存在する場合、そのページもあわせてご紹介しています。(2024年11月12日調査時点)
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/580/
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/products/580/
| 掘さく口径(mm) | 101~225 |
|---|---|
| 回転数(rpm) | 80(パーカッション併用)/100(回転増速) |
| トルク(kN-m) | 10.8 |
| 打撃数(bpm) | 2,200 |
| 打撃エネルギー(J) | 750 |
| スラスト(kN) | 60 |
| ストローク長(mm) | 3,000 |
| 原動機(kW/rpm) | 129/2,050 |
| 運搬時寸法【L×W×H】(mm) | 7,600×2,420×2,720 |
| 質量【本体】(㎏) | 12,500 |
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/product_category/rpd/
引用元:鉱研工業公式HP
https://www.koken-boring.co.jp/product_category/rpd/
| 掘削口径(mm) | Max.157 |
|---|---|
| 標準ロッド | P57~146×1.5m |
【ドリルヘッド】
| 型式 | KD-610A+PC-51A(3) |
|---|---|
| 回転数(rpm) | 低40、高80 |
| トルク(N-m) | 低7,740、高3,870 |
| 打撃数(bpm) | 2,200 |
| 打撃エネルギー(J) | 500 |
【給進装置】
| 方式 | オイルモーターとチェーン |
|---|---|
| 給進力(kN) | Max.50 |
| 引抜力(kN) | Max.50 |
| 給進速度(m/min) | Max.7 |
| 早送速度(m/min) | Max.18 |
| ストローク(mm) | 2,800 |
【ロッド切装置】
| アウタクランプ | 油圧式フリーロッドクランプ |
|---|---|
| ロッドブレーカ | 油圧式フリーロッドクランプ |
【移動装置】
| 移動 | クローラ(グローサーシュー) |
|---|---|
| 機体寸法(運搬時)(mm) | 6,470×2,200×2,620(走行時) |
| 質量(kg) | 9,500 |
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/yrp-180c
引用元:YBM公式HP
https://www.ybm.jp/product/yrp-180c
| 掘さく口径(mm) | Max216 |
|---|---|
| 回転数(min-1) | 低速32、高速65 |
| トルク(N・m) | 高トルク12,740、低トルク6,370 |
| 打撃数(bpm) | 2,000 |
| 打撃エネルギー(J) | 記載なし |
| スラスト(kN) | 記載なし |
| ストローク長(mm) | 記載なし |
【走行装置(トラクションユニット)】
| 型式 | YBC65 |
|---|---|
| 走行速度(km/h) | 0~3.5 |
| 登坂能力(°) | 20 |
【寸法・質量】
| 外形寸法(L×W×H)(mm) | 7,200×2,300×2,800 |
|---|---|
| 質量(kg) | 12,570 |
続いて、打撃数の記載が公式HP上で確認できなかったものの、地滑り防止工事で使用できる製品を紹介します。
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/manufacture/list.html
引用元:東亜利根ボーリング公式HP
https://www.toa-tone.jp/manufacture/list.html
【オシレーター】
| 形式 | 油圧モーター駆動 |
|---|---|
| 起振力(kN) | 123 |
| ヘッドスライド(mm) | 587 |
【ロータリーヘッド】
| 形式 | 油圧モーター駆動 |
|---|---|
| 最大トルク(N・m) | Low4.9、High2.4 |
| 回転数(min-1) | Low0〜40、High0〜80 |
【フィード装置】
| 形式 | オイルモーターチェーン |
|---|---|
| 押上力(kN) | 56.9 |
| 押下力(kN) | 56.9 |
| ストローク長(mm) | 3,850 |
【マスト】
| リーダースイング(°) | 左右±5 |
|---|---|
| リーダースライド(mm) | 600ストローク |
| リアジャッキ(mm) | 350ストローク |
【走行装置】
| 走行速度km/h | 0.6/1,2 |
|---|---|
| 旋回速度(min-1) | 2.5 |
| 登坂能力(°) | 全装備時10 |
引用元:東邦地下工機公式HP
https://www.tohochikakoki.co.jp/catalog/catalog_list.php?by_word2=1
引用元:東邦地下工機公式HP
https://www.tohochikakoki.co.jp/catalog/catalog_list.php?by_word2=1
【スピンドル】
| 内径(mm) | 79 |
|---|---|
| 回転数(r.p.m.) | 30:105:220:26(R) |
| 最大トルク(kN・m) | 3.43{350kgf・m} |
| ストローク(mm) | 500 |
| 給進力(kN) | 29.7{3030kgf} |
| 引抜力(kN) | 39.6{4040kgf} |
| 所要動力 | 11kW/4Pまたは15~20PS |
| 機体寸法【L×W×H】(mm) | 2,075×1,055×1,680 |
| 機体質量(kg) | 1,360 |
引用元:扶桑工業公式HP
https://www.kk-fuso.co.jp/kikai/
引用元:扶桑工業公式HP
https://www.kk-fuso.co.jp/kikai/
| スイベルヘッド形式 | ダブルシリンダ・オイルフィード方式 |
|---|---|
| スピンドル内径(mm) | 43 |
| スピンドルストローク(mm) | 500 |
| スピンドル回転数 (rpm) | A列57-120-270min-1 |
| 給進力(kN) | 上昇 26.9、下降 20.2 |
| スピンドルトルク(N・m) | 610 |
| トランスミッション | スライディングギヤ方式・3段変速 |
| メインクラッチ | 乾燥単板ディスククラッチ |
| 機体質量(本体)(㎏) | 331 |
| 機体寸法(L×W×H)(mm) | 1,159×700×1,091 |
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。