ボーリングマシンは、用途・工事内容に合わせて選ぶのがおすすめです。ここでは、主な工事内容と、工事で使う主なボーリングマシンをご紹介します。
地滑り防止工事は、もともとの地形や降雨・融雪などの自然的要因、トンネル掘削などの人的な要因で発生する「地滑り」を軽減・防止するために行う工事のことです。地すべり抑制工、地すべり抑止工などとも呼ばれます。
工事にはさまざまな工法がありますが、大きく抑制工と抑止工の2つがあります。抑制工とは、地滑りの原因となる地形や自然条件を変化させて地滑りを抑制させる方法、抑止工は、アンカーやシャフトなど構造物を設置することで地滑りを止める方法です。
法面工事とは、法面が崩壊・落石しないように行う工事のことです。植生工や構造物工、排水工などさまざまな種類から、法面の状況や周囲の環境、気候条件などに合わせて適切な工法を選択します。
アンカー工も、法面工事の一つです。アンカーと呼ばれる引張り材を埋め込んで、表面の岩盤が崩落したり剥落したりしないようにします。似たような工事にロックボルト工があります。
集排水工事とは、地すべりの原因となる地下水が大量にある場所で、地下水を排除する工事のことです。水抜き工とも言います。
浅い層に対する工事では、法面に水抜きパイプを挿入して、地下水位を低下させます。深い層への工事では、内径3.5~4.0mほどの井戸のような深い縦穴を掘って、井戸から上部方向へ扇状に集水ボーリングを実施。ボーリング孔から集水し、排水用のボーリング孔で排水することで、地すべりが起こらないようにします。
水平ボーリングも、地すべりの原因となる地下水を排除するために行う工事です。横穴工、横ボーリングとも言います。
工事は、地上から施工する場合と、集水井の中から施工する場合に分けられます。地上から施工する場合は、地すべりの滑動方向に対して直角、かつ、すべり面を超えるように掘削。その後、挿入した保孔管から地下水を排除します。地盤への影響が少なく、孔壁崩壊などが生じにくい点が特徴です。
地質調査とは、通常見えない地下の構造や状態を知るために行う調査のことです。地球の成り立ちを調べる地質学的解明研究のための調査から、地震予知のための活断層調査、石炭・石油・鉱物資源・地熱など地下資源開発のための調査、トンネルやダムなど土木建設のための基礎地盤調査まで、さまざまな目的で行われています。
調査手段も、ボーリング調査をはじめ、地表地質調査や各種計測・試験、地下レーダー調査などさまざま。調査の目的によってボーリング調査、土壌調査、建設工事調査、資源探査、学術調査、探鉱ボーリングなどと呼ばれています。
地盤改良工事とは、安定性の足りない地盤に手を加え、土質や地盤を改良する工事のことです。住宅やビルなどの建築物を建てる際に行われる工事としてご存じの方も多いでしょう。
工事は、大きく分けて「表層改良工事」「柱状改良工事」「小口径鋼管杭工事」の3種類。このうち土の中にセメント系固化材の柱を造る「柱状改良工事」と、地中深くにある固い地盤に細い杭を打ち込む「小口径鋼管杭工事」に主にボーリングマシンが使用されています。
さく井工(さくせいこう)とは、石油や温泉、地下水(飲料水)をくみ上げるための井戸と、それに必要な揚水設備の設置等を行う工事のことです。井戸工事、井戸施工、井戸ボーリング、揚水井工事、井戸掘削とも言います。
さく井工には、工法によって「パーカッション工法」「ロータリー工法」「エアハンマー工法」の3種類があります。掘削口径の大きさや掘る深さに合わせて、工法を使い分けながら掘削を行います。
グラウト工とは、建物内や地中の空洞・空隙・隙間・目地・ひび割れなどを補強・補修する工事のことです。ダム工事、河川工事、山岳トンネル工事、地盤の液状化対策などに用いられています。グラウト孔、薬液注入工事などと呼ばれる場合もあります。
ボーリングなどで設置した管を通して固結材である液体を注入し、隙間を埋めたり地盤の強度を高めたりします。工事には、薬液を混ぜる「グラウトミキサー」、薬液を圧送する「グラウトポンプ」、注入時に流量を管理する「流量計」、地盤を削孔する「ボーリングマシン」などを使用します。
地中熱利用工事とは、地表から地下200mまでの地中にある地中熱を利用できるようにするための工事です。地中にボーリングで孔を開け、設備を挿入して、必要な熱エネルギーを取り出せるようにします。
工事の方法は、地中熱交換器を利用する「クローズドループ」、揚水した地下水の熱利用する「オープンループ」、「空気循環」「水循環」などさまざま。
CO2削減やヒートアイランド対策にも大きな効果が得られることから、住宅をはじめ、学校・病院・ビル・温浴施設・道路融雪などさまざまな場所で利用されています。
温泉開発工事は、文字通り、温泉を掘削するための工事です。多くの場合、ロータリー工法という方法を用いて1,500~1,800mほど掘削します。工事には、地下千数百mを掘削できるボーリングマシンをはじめ、泥を循環させる泥水ポンプ、泥水をためるプラント処理機械など、大型かつ多種類の機械が不可欠です。
これらの機材を配置するのに広い場所が必要なため、平らに整地し、地盤が軟弱な場合は地盤改良を行います。
急勾配の法面での作業には、仮設足場を設置した上でボーリングマシンを使用します。しかし、仮設足場を設置・解体するためのコストや時間がかかるなどさまざまな課題がありました。
おすすめなのが、ロングブームを取り付けたバックホウと、パーカッション式削孔機を組み合わせた高所ボーリングマシンです。機械接地面から上部にアームを伸ばし、掘削が行えるので、足場の心配をすることなく作業をすることが可能です。
一般的なロータリーボーリングは、資材総重量が2トン近くになる上、設置するために最低でも5m×5mのスペースが必要なため、狭い場所・急な傾斜地などでは作業が困難です。このため狭所工事では、小型化・軽量化されたボーリングマシンを使用します。
小さなスペースでも設置できる上、小型&軽量な部品を組み合わせているタイプは、人力で運搬し、現場で組み立てることができます。立木の伐採や地形の改変をしなくても作業できる点が魅力です。
アンカー工・法面工などの中規模以上の工事から、地盤改良や地質調査などの小規模工事まで様々なシーンで活躍するボーリングマシンを、工事ごとに重要視される特徴やスペックを「強み」として表現し、それぞれにおすすめなメーカーを3社ご紹介しています。
引用元:鉱研工業(https://www.koken-boring.co.jp/products/580/)
山岳の硬い岩盤も貫けるよう、回転トルク10kN-m・引抜力60kN(給進機構)・ドリルヘッド速度25m/min、打撃力750Jなどのハイパワーを備えつつ、4次排ガス規制に適合したエンジンを積むことで燃焼効率も自動でコントロールし、経済的です。
引用元:YBM(https://www.ybm.jp/product/lrp-400-2)
本体重量がわずか1トンの軽量型マシンや、ロング車1台でツールスなどのオプション品も運搬できるのが同社製品の魅力。
大型重機を入れづらい狭い場所で行う調査や、重機を扱う担当者への負荷を抑えたい現場におすすめと言えます。
引用元:東亜利根ボーリング(https://www.toa-tone.jp/_shared/catalog/C100.pdf)
都市部における掘削作業では、騒音や振動への対策は必要不可欠。
国交省の「超低騒音型建設機械」にも指定された同社製品では、従来品比でエンジン騒音-11dB・作業音-10dBを実現。また、騒音の逆周波を人工的に発生させる消音装置なども展開しています。